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第7回東京自由律俳句会
日時: 2011/09/26 14:16
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

      『第六回東京自由律俳句会』お知らせ

 平成20年5月に自由律界歴史上初めての「第一回東京自由律俳句会」が開かれ今回で六回目を数えます。これまで春は句会、秋は勉強会を中心として開催されましたが、今回は句会と共に「先駆者の自由律俳句への思い」と題し、荻原井泉水と中塚一碧楼の二人を勉強します。自由律俳句を愛する方ならどなたでも結社等に拘らず自由にご参加下さい。

 ○荻原井泉水 人物像、自由律俳句の考え方、作品の解説  ぎんなん
 ○中塚一碧楼        〃             海紅社
            参加者の皆様には事前に二人の句、各々50句を一覧にして送りますので、     で句会句と同様に各自5句(うち特選1句)を選句して下さい。

1.日時 平成22年11月23日(祝)午後12時半より5時まで

2.会場 江東区芭蕉記念館 1階会議室
  住所:〒135-0006 東京都江東区常盤1−6−3
           電話:03−3631−1448
■地下鉄 都営新宿線・都営大江戸線森下駅A1出口より徒歩7分
     東京メトロ営団半蔵門線 清澄白河駅
         清澄通り改札口下車A1出口より徒歩10分

3.参加費 1,000円(資料代含む出句のみも可です)

4.出句料 1,000円―2句1組で未発表のもの
※出句のみの方は1.000円を郵便振替口座(申し込みされた方には後日振替口座番号をお知らせします)海紅社 宛ご送金下さい。後日選句ハガキ(井泉水・一碧楼句を含む)と選句結果をお送りします。
※当日参加される方は合計2.000円(出句無しで参加だけの方は1.000円)を会場でお受け致します。

5,締切  平成22年10月15日(期限厳守でお願いします。)

6,応募要領 官製葉書に下記をご記入下さい。
   (FAX・メールでも可。tadato8008@nifty.comアドレスへ)
  宛先 〒一五四−〇〇一二
       東京都世田谷区駒沢二−二八−一四
            海紅社 中塚唯人 行
裏面
     第六回東京自由律俳句会申し込み
   @氏名・年令 所属結社名(個人の方は不要)
    A〒 住所
     電話番号
   B投句二句
   C出席・投句のみ(どちらか○をお付け下さい)
     懇親会 出・欠席

※懇親会は会の終了後、引き続き同所で行います。(費用2.000円)

7,連絡先 〒154-0012 東京都世田谷区駒沢2−28−14
                  「海紅社」中塚唯人宛
       電話・Fax:03-3422-6962
 
         プロデュース 『群 妙』白松いちろう
メンテ

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自由律俳句会 報告 1 ( No.1 )
日時: 2011/09/26 14:29
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

◆はじめに◆
 この会は春は句会、秋は勉強会を中心として、これまで全く横の繋がりのなかった閉鎖的な自由律界を、結社などの枠を超え、これからの自由律の未来を切り開こうとの熱い心を持った人ならば誰でも参加出来る仲間の輪です。今年で三年目を迎え今回は棚橋麗未さんを中心に「しらゆり句会」の皆さんのプロデュースで進行されました。

◆参加者名簿
   (アイウエオ順、丸印は当日参加者です)
○荒木 勉(「群妙」)
渥美 ゆかり(海紅「阿良野句会」
院瀬見 美登里(「海虹社句会」)
○伊藤 郁子(海紅「青空句会」)
 伊東 佐久(「眉」)
○岩村 操子(「草原」)
○岩谷 照子(海紅「しらさぎ句会」)
○大井 恒行(文學の森杜)
 荻島 架人(「ぎんなん句会」)
○上塚 功子(海紅「しらさぎ句会」)
萱沼 良行(「ぎんなん句会」
○黒瀬 文子(「しらゆり句会」)
小山 智庸(海紅・氏家「かみなり社」)
斎藤 実(「ぎんなん句会」)、
さいとうか・ぜお(「五月の会」)
○佐瀬 広隆(「ぎんなん句会」)
 塩野谷 西呂(海紅・秋田「稲穂吟社」)
 渋谷 知宏(海紅・大阪)
 清水 信子(海紅・福岡)
白神 美佐子(「しらゆり句会」)
○白松 いちろう(「群妙」)
○そねだ ゆ(「草原」「ぎんなん」)
 高橋 登紀夫(海紅・秋田「かも川吟社」)
○田中 耕司(「海紅社句会」)
○柵橋 麗未(「しらゆり句会」)
 ちば つゆこ(浜松「層雲」)
○都丸 ゆきお(海紅「しらさぎ句会」)
 富永 鳩山(防府「群妙」)
○中塚 唯人(海紅・東京「海紅社句会」)
 南家 歌也子(「層雲」「ぎんなん句会」)
○平岡 久美子(「ぎんなん句会」)
 藤澤 隆子(海紅・秋田「かも川吟社」)
 藤田 踏膏(「層雲自由律」「豈」「でんでん虫の会)
ベランジェ 昌子(「ぎんなん句会」)
堀 美子(「ぎんなん」)
 堀切 博昭(「層雲」「ぎんなん」)
増渕 コク(海紅・氏家「かみなり社」)
 三浦 桂芽(海紅・秋田「稲穂吟社」)
 森 命(海紅・岐阜「かみなり社」)
 矢野 風狂子(「草原」)
○湯原 幸三(「海紅社句会」)
○吉川 通子(「海紅社句会」)
○吉多 紀彦(ぎんなん句会)
○吉田 健治(しらゆり句会」)
○和田 美代(「しらゆり句会」)
 夏石 番矢(「吟遊」)特別に選句をお願いしました。
メンテ
自由律俳句会 報告 2 ( No.2 )
日時: 2011/09/26 15:18
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

第七回東京自由律俳句会詠草集

 一 優しい人になって入院患者している 吉多 紀彦
 二 無神論を吐くか原発の水蒸気 藤田 踏青
 三 仏壇白黄色の水仙供えて拝む 堀切 博昭
 四 不明者名簿に無数の黒蟻のぼり行く 藤田 踏青
 五 さみしさが漏れないように布団を被る 荻島 架人
 六 被災で隣人との壁が消え 白松 いちろう
 七 さようなら納豆が買えない春でした 湯原 幸三
 八 踏めば泣く枯葉の帰り道 富永 鳩山
 九 痛む友の心を抱く 堀 美子
一〇 朝の月のこのまんまるの色を云う言葉がない 田中 耕司
一一 大激震日本沈没も隣り合わせで生きる 堀切 博昭
一二 青い空に白い辛夷まだまだ風が冷たい 吉川 通子
一三 人の津波のさらっていったスーパーの棚 佐瀬 広隆
一四 人が頭が並ぶ先のヒトの向こうにパンダ 湯原 幸三 
十五 さくらさくらさくらさくらさ・く・ら 萱沼 良行
一六 小学校卒業辛夷の花の下孫と並ぶ 岩谷 照子
一七 春遠く貧乏ゆすりの神がいて 平岡 久美子
一八 春の夕の電線を見上げては立ちどまる 渋谷 知宏
一九 柔軟体操できない心が折れる そねだ ゆ
二〇 終わりのない日々のさくら次々と咲いては散った 渋谷 知宏
二一 自在に春を操りさくら咲かせたのはだれ 中塚 唯人
二二 山まるごと春色に染まる 吉川 通子
二三 細過ぎる腕に蝿がとまる 矢野 風狂子
二四 困ったこと抜け出せない身を屈める そねだ ゆ
二五 さくらさくらかなしみがふる ちば つゆこ
二六 合格しましたのお札に梅ひとひら 白松 いちろう
二七 行く先のない怒りは神様のせいにしておく 中塚 唯人
二八 開ききったチューリップの気だるい終末 堀 美子
二九 嫁に来てまず茶碗を拭いている 吉多 紀彦
三〇 何本ものヒモ手繰りこの春生まれた君 平岡久美子
三一 雨ざらしの幸福論岩波文庫 矢野風狂子
三二 老人に詩あり地に草の青 高椅登紀夫
三三 さくら北上去年の少女はいないという 富永 鳩山
三四 よちよちあんよの芽吹くそら 佐瀬 広隆
三五 ゆれにゆれ涙をためて桜咲く 白神美佐子
三六 揺れて猫を抱いて揺れて庭の狸が倒れる 南家歌也子
三七 郵便配達が素通りした草萌えの雨 三浦 桂芽
三八 闇の夜は夢ばかり遠く潮騒の音 ベランジェ昌子
三九 野菜も詰めたよガムテープがしっと切る 渥美ゆかり
四〇 命日と日記に書くそれだけの法要 森 命
四一 紫もくれん開けない原発が恐ろしゅうて 院瀬見美登里
四二 見られて魅せておちる落ちてからが椿 森 命
四三 満開の桜余震に揺れる 南家 歌也子
四四 窓を伝わる春の雨胡坐で一杯のむか 三浦 桂芽
四五 待て!他人の貌で通り抜ける春 黒瀬 文子        
四六 またもや花粉の候 厨の妻が大嚏 小山 智庸        
四七 ブランコゆらり夕日に入る 萱沼 良行
四八 引き算出来ない笑いでごまかす独り 伊東 佐久
四九 表情顔に出さぬ木瓜だから匂うだけ 塩野谷西呂
五〇 春の駅で借りる 太郎のパレット 白神美佐子
五一 春と私の温度差なじませた鬼怒の水音 増渕 コク
五二 花を愛でるこころつなみにさらわれる 斎藤  実
五三 嫁のない五郎に春が突進してくる 高椅登紀夫
五四 眠れない夜をメールする ちばつゆこ
五五 日常失くなってしまった光景ひたすら募金に走る 清水 伸子
五六 なにもかも捨てて命一つのともしび ベランジェ昌子
五七 春遠く押し流されてゆくランドセル 棚橋 麗未
五八 地球が廻ってまわって震度九の春が来た 藤澤 隆子
五九 戦中派の心を散らす桜なんぼん 和田 美代
六〇 シンシン・リーリに久々笑顔桜咲く日本人 清水 伸子
六一 三月よホーイ夫婦の愛へ地震よホーイ さいとうか・ぜお
六二 さよならの粒をまつ毛にのせる 荻島 架人
六三 先の見えない風へ身を投げにいく 和田 美代
六四 この地球のおくりもの野蒜摘む 増渕 コク
六五 鍵盤に最后のドを弾く白寿を祝う 岩村 操子
六六 擽るレトロ麦飯弁当のシール 小山 智庸
六七 牛乳も納豆も復活 桜も咲いた 院瀬見 美登里
六八 がらんどうの棚に地震が座っている 荒木  勉
六九 哀しみの突き抜けたのちの笑顔 黒瀬 文子
七〇 月のランプ瓦礫の中を手探りで 棚橋 麗未
七一 お花見パンダ二の次とはいかぬ人ばかり 上塚 功子
七二 遅れて来た花の言いわけ散っている 荒木  勉
七三 イチョウのあさみどりふわり着てみようか 上塚 功子
七四 幾重にも畳まれどうにも死ねない紙人形 さいとうか・ぜお    
七五 生かされてサクラ放射物に竦む 伊東 佐久
七六 明日の陽ざしに思いを紫花菜雨にうたれ 渥美ゆかり
七七 あけっぴろげの春だからってユキヤナギも真っ白じゃない 田中 耕司
七八 あかり消え公園の辛夷が大木だった 岩村 操子
七九 二〇一一年の桜、黙って咲いている 斎藤  実
八〇「北国の春」しみじみと聴く 岩谷 照子
八一 木瓜落下土になじめぬときも過去となり 塩野谷西呂
八二 春の闇共にヒラメのように眠る仲 藤澤 隆子
 
 今回は四十一名から八十二句を頂き誠に有難う御座いました。
 そして事前に投句下さった全員に選句をお願いし、特選句を二点、 その他を一点とし集計しました。その結果の上位得点句が次のようになりました。
メンテ
自由律俳句会 3 ( No.3 )
日時: 2011/09/26 15:34
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

第七回東京自由律俳句会】棚橋 麗未
 台風二号の影響であいにくの雨、出足を心配されたが二十名の出席を得て無事開催。
 初めに東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたし全員で黙祷、司会の棚橋は津波で母を亡くした四歳の幼児の、
「ママへ、イキテイルトイイネ。オゲンキデスカ」
 何気なく書いたこのあどけない言葉の叫びから受けた大きな感動と、ドナルド・キーン氏が米国での日本文学の教授生活を終えたら日本に帰化するという明るいニュースに触れ、俳句の輪の広がり、俳句を楽しむよろこびを述べた。
 続いて、白松いちろう氏の挨拶は「自由律句のひろば」総会報告、次に伊藤郁子氏が「青空句会」を紹介、「心の病」を自由律俳句にて治療するという立派な感動秘話に心打たれた。
 各班の三グループにわかれ句会開始。
第一班(七名)岩村操子、佐瀬弘隆・白松いちろう
そねだゆ・平岡久美子・吉多紀彦・都丸ゆきお
第二班(六名)荒木勉・大井恒行・黒瀬文子・吉田健
治・和田美代・棚橋麗未
第三班(七名)伊藤郁子・岩谷照子・上塚功子・田中
耕司・中塚唯人・湯原幸三 ・吉川通子

各班それぞれ次の要項のもと協議に入る。
@ベスト10上位句から、班独自のベスト1を選び、選句の基準とその他の候補句について。
Aベスト10以外で推薦句から二句。
Bその他で自由律らしい可能性を秘めた句を二句選出。

以上について各班研究討論に入り、各班の代表が感想発表板書、それぞれの選出作品について感想発表。詳細は各班代表が原稿を中塚唯人氏宛送付することに決定。ここで今回第一位から第十位までの作品に賞品が授与された。

 十五分の休憩があり、机を班別から元に戻して一句持ち寄り句会に入る。すでにコピーの無記名のプリントと選句用紙を個別に配布、四句選に入る。内一句を天とする。和田美代さんの披講、一句ずつ聴いてると、みんなよい作品に感じられ、集計結果
 第一位(十四点)
  空を探してるコップのクローバー
       岩谷 照子
 第二位(十点)
  この揺れで喜寿の膝がずれた
         岩村 操子
 第三位(九点)
   それぞれ違う海見ている梅雨入り      
                   棚橋 麗未
    
 同(九点)
   おてんとさまも節電山ぼうしの灯り      上塚 功子
 意見交換会では、全員が本日の作品についての感想を発表、なかなか充実の句会だった。

 最後に「自由律句のひろば」の今後について白松いちろう氏から、次いで中塚唯人氏から、次回東京自由律俳句会は十一月二十三日開催決定、その他打合会等の説明があり五時ちょうど閉会となる。台風の関係で懇親会は中止、お弁当はお持ち帰りとする。
 最後に恒例の記念撮影、外の雨とは裏腹にとても和やかな一日だった。
 このように順調に運ばれたことは、準備万端すべて中塚唯人氏のお力添えの賜と深く感謝申し上げます。いろいろお世話くださいました皆々様方、本当に有り難うございました。心からお礼を申し上げ、本日の句会のご報告といたします。
メンテ
自由律俳句会 報告 4 ( No.4 )
日時: 2011/09/26 15:41
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

 【一斑報告】     平岡久美子
(各班の構成は棚橋麗未さんの班分けを参照下さい)
@ ベスト10より一班のベスト1を
 第一候補として最高点の
  命日と日記に書くそれだけの法要 森  命
 次点に
  がらんどうの棚に地震が座っている 荒木 勉
 が選ばれて、討議に入りました。多数決の結果、「命日」の句が 選ばれました。次点にまわった「がらんどう」の句では、『座っている』に賛否が分かれました。
A ベスト1以外より二句
☆佐瀬 明日の陽ざしに思いを紫花菜あめにうたれ
☆白松 ブランコゆらり夕日にはいる
 ゆ  雨ざらしの幸福論岩波文庫
 都丸 老人に詩あり地に草の青
 吉多 イチョウのあさみどりふわり着てみようか
 平岡 春の駅で借りる 太郎のパレット
 意見が各自ばらばらだったが最終的に☆印に決定。
「岩波文庫」は類似句が多いがつい惹かれる。
「春の駅」は多数の意見が寄せられたが決定にいたらなかった。
B 自由律の可能性を秘めた二句
  朝の月のこのまんまるの色を云う言葉がない 田中 耕司
  春の駅で借りる 太郎のパレット 白神美佐子
  嫁のない五郎に春が突進してくる 高橋登紀夫
  がらんどうの棚に地震が座っている 荒木  勉
 これらの句が挙がったが結局一斑として
  さくらさくらさくらさくらさ・く・ら 萱沼 良行
  春の闇共にヒラメのように眠る仲 藤澤 隆子
 この二句を推薦しました、最後のBでは時間が不足して最後の詰がなされなかったように感じる。あと十分あればと思うので、次回の時間配分に参考意見としておきたい。

 【二斑報告】     黒瀬 文子
今回の詠草集の中より三つの課題について@ベスト10より二班のベスト1を
  春の駅で借りる太郎のパレット 白神 美佐子
が選ばれた。その理由として、二班のメンバー三名までが特選に選んだ句であること。太郎は岡本太郎を連想し、生命力溢れ、春の息吹を感じ元気になる句である。また、太郎の豊かな、鮮やかな色彩を、色を失った自分自身の心に描きたかったのでは‥‥との意見。太郎を岡本太郎と限定しなくても十分に自然のすばらしさ、詩情を感じさせる句であるなどの意見によるベスト1となった。
Aベスト1以外より二句
  遠く押し流されてゆくランドセル 棚橋 麗未
  がらんどうの棚に地震が座っている   荒木  勉
 どちらも三月十一日の東日本大震災の句となった。今の時節を詠んだものが、時間が経過した後、色褪せるのではとの意見もあるが、千年に一度というような大災害の実感こもった句こそ、残って欲しいものだと思う。どちらも重く心に響く句である。
C 自由律の可能性を秘めた二句
  先の見えない風へ身を投げにゆく 和田 美代
  月のランプ瓦礫の中を手探りで 棚橋 麗未
 少々、意図するところと違う点もあるかもしれない。一句目の意見として、最初の「先の」を省き、「見えない風へ身を投げにゆく」とすると、句がすっきりとし、未知の世界への冒険の句に思える。
 二句目のようなロマンのある句、想像を豊かにしてくれる―の意見。
 俳句が一つの方向だけでなく、もっと自由に人生の喜怒哀楽を、心の叫びを、自然の美を唄い、句を産み出し、苦しみと楽しみを味わいたいものである。自由律俳句のますますの向上のために!


【三斑報告】      中塚 唯人
 @のテーマについては各人の選句は全くばらばらでどれ一つとして同じものはなかた。つまり選句も作句と同じように各個人の個性の現れで多数決の論理というものは適用できないと言うことかもしれない。とはいえそれを話し合いで最大公約数を求めるのも無駄ではないだろう。そうなると各人の思いの強さ、解説力、説得力の勝負となる。要するに喋ったもの勝ちになる恐れがある。それを披講者がどう捌くかも自由律句会の今後の課題であろう。
@の句は
  春の駅で借りる 太郎のパレット 白神美佐子
が選出された。「太郎のパレット」の取り方に疑義がもたれるとは思うが、全体でも三位にランクされているところ見ると、それぞれが誰かを明確に思い浮かべていることだろう。その中でも多くは、太郎=生誕百年祭を迎えた岡本太郎が多かったに違いない。この太郎をイメージすればこの句は解説を必要としない。
Aの句。
  がらんどうの棚に地震が座っている 荒木 勉
 この句はこれまでにありがちな俳句の手法、直接に情に訴え同意を求めるのではなく、情を押さえながらも深い思いを読むものに伝えている。それは
  戦争が廊下の奥に立つてゐた 渡辺 白泉
の手法を彷彿させる。
  朝の月のこのまんまるの色を云う言葉がない 田中 耕司
 この句は作者によると、自由律句がどれほどの長さまで許されるかを試したとのこと。この句会の目的の一つは自由律句の向上を図ることだと思うので、こういった試みが大いに必要だと思う。
 この句が七位に選出されたのは作者にとって、してやったりであろう。
Bの句。
  春の駅で借りる 太郎のパレット 白神美佐子
 この句は@に続いての再登場であるが一つの言葉が多くを語る、措辞の選択の大切さ、それによるイメージの膨らませ方を教えられたようである。
 このイメージは万人に思い浮かばないかもしれないが、この発想は今後の自由律句に生かされてもいいと思われる。
  嫁のない五郎へ春が突進してくる 高椅登紀夫
 この句もイメージが膨らむ。これが太郎や次郎でないところに注目。昔の家父長制度において太郎は跡継ぎ、次代の長になる。しかし五郎=五男は全くの浮かぶ瀬もない部屋住で、言ってみれば居候に近い存在だ。その五郎に嫁が来る、これこそ五郎に春が突進してくるのだ。その喜びがこの一句から溢れ出ている。
 これは作者の意図と必ずしも重なってはいないかもしれないが、なぜここに「五郎」が出てきたかを考えると、何気なく読まれた句が一躍非常におもしろい句となる。そんなところに可能性を秘めた句だと思われる。

 以上が、第三班で話し合われたことであり、これは結論ではなくこれをヒントとしてもう一度各人で考えて貰えたらと思う。
メンテ
自由律俳句会 報告 5 ( No.5 )
日時: 2011/09/26 15:42
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

 意見交換会では、全員が本日の作品についての感想を発表、なかなか充実の句会だった。

 最後に「自由律句のひろば」の今後について白松いちろう氏から、次いで中塚唯人氏から、次回東京自由律俳句会は十一月二十三日開催決定、その他打合会等の説明があり五時ちょうど閉会となる。台風の関係で懇親会は中止、お弁当はお持ち帰りとする。
 最後に恒例の記念撮影、外の雨とは裏腹にとても和やかな一日だった。
 このように順調に運ばれたことは、準備万端すべて中塚唯人氏のお力添えの賜と深く感謝申し上げます。いろいろお世話くださいました皆々様方、本当に有り難うございました。心からお礼を申し上げ、本日の句会のご報告といたします。
メンテ

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