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第五回東京自由律俳句会
日時: 2010/04/09 15:35
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

【『第五回東京自由律俳句会』お知らせ】
「東京自由律俳句会」を下記要領で開催します。今回は句会を中心に進めます。自由律の未来を知りたい方、どなたでも是非ご参加下さい。飛び入りも歓迎します。
1 日 時  平成二十二年五月三十日(日)
      午後一時より五時まで(開場は十二時より)
2 会 場 江東区芭蕉記念館一階会議室
 住所‥〒二二五−〇〇〇六 東京都江東区常盤一六−三
       電話‥〇三l三六三一1一四四八
 ■地下鉄
 都営新宿線・都営大江戸線 森下駅Al出口より徒歩7分
  東京メトロ営団半蔵門線 清澄白河駅
      清澄通り改札口下車Al出口より徒歩10分
3 参加費  千円(資料代含む)
4 懇親会 会の終了後、同所で行います。(費用二千円)
  ※詳しくは海紅社まで。
メンテ

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第五回東京自由律俳句会詠草集 ( No.1 )
日時: 2010/09/19 21:06
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

 一「お早よう」とは言えない五又路の青信号
 二「なぜなくの」カラス愛されていた頃
 三 27階からのハーバーライトに乾杯ディナーは娘と
 四 青い空ツタンカーメンと名告る豆を播く
 五 芦の角とんがってこの世に出る
 六 いちばん遠くへ私をはこぶ花筏
 七 一本桜気持通じあって薄暮となる
 八 お洒落してたけど買ってしまった大きな筍
 九 朧月大陸の土の臭いよ春風よ
一〇 オリオンにウインク歩巾ちょっとずらし
一一 花信の風 指もて朝の髪を梳く
一二 風の求婚に若葉が首をふっている
一三 片恋に逢いにゆく真っ白なブラウス
一四 カラスが骨磐で歩くから三郎が笑う
一五 逆風受け入れて踊る福寿草
一六 今日みなみが吹いた春が柳がふくらむ
一七 血管から咲く花に氷の蝶が止まる
一八 耕人の影むらさき色に成ってなお働く
一九 五月を待つしあわせの夜るをねむる
二〇 コップに菜の花一輪筍ごはんは出来過ぎ
二一 この思いが満開の桜道をくぐり峠に続く
二二 辛夷も桜も一緒に咲いて酔いしれる
二三 これからをたのみます 金婚の旅
二四 桜がボソボソ語り出すじっさまが死んだ時のこと
二五 櫻満開春がまた来る
二六 さくら序の舞ひらりと靖国能舞台
二七 雑踏が歪んだ鏡に吸いこまれる
二八 さようなら、辞世はひらがなさくらちる
二九 残照海へ舌伸ばすアンモラル
三〇 山門に辞儀し枝垂れ桜撮る
三一 四界の桜身に合った茶碗のめしを喰う
三二 自由でありながら生まれ変った黒蝶一羽
三三 森羅万象どきんどきんと木の芽時
三四 そこだけ水のない田
三五 空高くテレビアンテナの烏何処へ行く
三六 大仏仰ぎ見るそこに鎌倉の花曇り
三七 父のない子ほめられて抱きしめられて卒園する
三八 疲れたと言わない意地が花冷え
三九 てんはねむくあくびまんまる
四〇 陶芸家が摘んだ蕗の薹の佃煮ホロ苦い
四一 ドウデモイイそんな日の眼にも花が咲く
四二 乃木坂に夫婦別姓相愛傘 
四三 ジュリーは花水木の前で立ち止まりまた歩き出した
四四 ハナダイコンのうすむらさきの比重は大きい
四五 花吹雪こころは裸のままがいい
四六 薄着の佛様夏が来てよかった
四七 春うらら生きもののようゆれる髪
四八 水たまり凍ってパリッと割れた早春
四九 春風にこころを貼って心への見舞い状
五〇 うつの雲躁の雲スカイツリー顔出す
五一 半平太の雨きて物忘れ上等になった
五二 彼岸の墓参り此岸にいればこそ
五三 桜に浮かれる人々尻目のハトポッポ
五四 人一人来ない境内の風に舞う花びら
五五 この春の寒暖深川への服そっちのけ
五六 古家とり壊しびわの青い実
五七 銘酒たっぷり枡の角ずみ桜色
五八 芽吹きはまだ店に柏餅並ぶ
五九 目をつむれば昔が帰ってくる夜長の灯り
六〇 焼きいもむく まっすぐな男できた
六一 楊貴妃に会った黄砂降る中の白木蓮
六二 夜桜ぼんぼり囲み妖精の宴
六三 世捨人にさくら降る降る
六四 夜どおし明るい桜 死の影も
六五 わたしのなかのがんこな根雪
六六 わっはっは若者はさくら色浮かれてる
六七 安定と束縛纏い男は眠る
六八 河津桜一本 百年の村を受け継ぐ
六九 花冷えのアジアが遠く灯っている
七〇 寄り道ドーナツで今日にマル
七一 政治もストレスも無い私だけの陽春
七二 句を編んでふるさとをつなぎとめる
七三 月と歩けば鼻唄
七四 五六発のクサミで悪夢飛ばした
七五 香りすれ違ってうしろ姿
七六 桜もオレンジの夕日だ
七七 桜散るときざわめくこころ
七八 指で輪を描きトンボ捕った日
七九 春のジッパー引っかかったまま
八〇 春のひかりよそ行きの服ではねて歩く
八一 信号変って遠い山々の冠雪
八二 雀も談合するか細木ゆれゆれの夕べ
八三 生命線が笑う人生もある
八四 全身揉みほぐされた冬が去る
八五 窓いっぱい浅間山白い息が届く
八六 店じまいマネキン人形会議中
八七 濡れても好い雨の揚げひばり
八八 捻挫の足かばい桜雨
八九 富士から筑波まで冬一直線
九〇 別れの酒いただき握手をして春
九一 目をつぶれば渡れそうな川の前
九二 落花しきりなり桜浄土に佇(た)ちつくす
九三 留めるには両手がいるホック外す
九四 泣く娘と鳴く犬と同時代性と
九五 みつけた音階たどると母がいる
九六 春休みばばのうどん食べたい電話の声
メンテ
第五回東京自由律俳句会報告 ( No.2 )
日時: 2010/09/19 21:10
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

【第三班句会報告】         そねだゆ
座長:そねだゆ、発表者:そねだゆ、吉多紀彦(ぎんなん)、堀美子(ぎんなん)、荒木勉(群妙)、上塚功子(海紅)、岩谷照子(海紅)、黒瀬文子(白ゆり)

最初に今回の選句基準で気になる句を銘々から出してもらい、それぞれを鑑賞講評して、三句にしぼりました。
 ◎11・花信の風 指もて朝の髪を梳く
 ◎18・耕人の影むらさき色になってなお働く
◎69・花冷えのアジアが遠く灯っている
72・句を編んでふるさとをつなぎとめる
83・生命線が笑う人生もある
90・別れの酒いただき握手して春
95・みつけた音階たどると母がいる
11句は、用語といい文語的といい六・七・五であり、伝統俳句そのものですが、日本画のような響きがあり、全体で取り上げたい。
18句は、≠ネってなど説明的ですが、紫色が印象派の絵のように印象的であり、全体で取り上げたい。
69句は、飛行機などから見た大陸の実景とも見えるが、アジアの経済政治的背景を読ませようという計算が見える点で観念的に過ぎている点が気になります。こうした傾向が自由律俳句作家の一部にあるので全体でも検討したい。
72句は、句の背景を知らないと感動点がイメージできません。荒木さんがこの句の作者の親御さんが亡くなられ残された句集を編集する時、ふる里の親と自分がつながる気がするという意味だと言われて、皆納得しましたが、前書きなしで感動が伝わるのが良いと言う常識的なポイントなので、全体では取り上げないことにしました。
83句は、多分生命線が短くて長生きしないと言われていたのがこの歳まで生きてしまったという句と思われますが、人生訓的で、もっと独自の眼差しの句である方が良いと思われたので、全体では取り上げないことにしました。
90句は、人事異動などでの送別会で去る人と握手して、春だなという句だと思われますが、座句の春が即き過ぎでもっと表現に独自性がないと印象が薄くなるなどで、全体では取り上げないことにした。
95句は、≠ィんかいと≠ィと きざはしと二重に読めるので、句がすっきりないのが惜しいが、ふと浮かんだリズムを思い出していると母の好きな歌だったという句意に意外性がないので、全体では取り上げにことにしました。
どうしたら句が旨くなるか?¥tのジッパーひっかかったまま を例に取りますと、春宵が冷えてきて着る物をまた出して着たのですが、考え事をしていたので、ジッパーがひっかかってしまいました。でも春だからまあこのままでいいかと思ったときに浮かんだ句です。これを後で自分で選句する時に、ものをもって気持ちを表す俳句性から見ること、頭で当てようと作ったものでなく、自然に浮かんだものか、読み手となって鑑賞するときイメージが多様に広がるかで選びます。この習慣があると、自然に自由律俳句の精神を持った心に響く句になると信じています。逆に当て狙いの臭い句や頭で解釈しなければ分からないような句に惑わされるようですと良い句を作れなくなるようです。よい句を自由律俳句の精神を持って鑑賞する習慣により、良い句を生む体質になると自分は思っています。
メンテ
第五回東京自由律俳句会報告 ( No.3 )
日時: 2011/02/12 22:59
名前:   <yusoneda@yahoo.co.jp>
参照: http://soneda.or.tv

【第五回東京自由律俳句会報告】 湯原 幸三

 五月三十日、毎回雨に見舞われますが今回は曇り空の江東区の芭蕉記念館で「東京自由律俳句会」が開催されました。会場となったいつもの一階会議室には机がロの字型に並べられ、参加者は受付時に指定されたグループの場所に着席。五回目の今回は、事前に寄せられた投句数が九十六、当日出席者二十二名。いつも通り結社の枠を越えた集会なので、四月に行われた海紅全国大会とはどこか違った雰囲気です。と言っても、ライバル視して険悪なムードになることなどは一切ありません。所属も何も関係なく、顔を合わせて言葉を交わす様子からは本会がひとつの「会」として、まとまってきていることが感じられました。

 予定の十三時を五分ほど過ぎ、まずは中塚唯人氏のご挨拶。そしてスケジュールの説明後、メインイベントである句会が始まりました。司会は豊沼良行氏(ぎんなん句会)、今回の座長でもあります。
前回同様、初めは三班に別れ各班三句ずつ選出し、最後に全員で意見を出し合うというシステムです。
 班ごとに話しやすいよう机を並び替えてからスタート。当日の配布資料には投句された九十六句の事前の選句による得点や順位が記されていたので、それらを元に、得点上位句・得点は入らなかったが気になる句・特選句として選ばれた句・未完成だが魅力のある句等を選句の基準として、それぞれの班で話し合いました。選ばれた句がこちらです。

片恋に違いにゆく真っ白なブラウス 南家歌也子(ぎんなん句会)
そこだけ水のない田 堀  美子(ぎんなん句会)
店じまいマネキン人形会議中 平岡久美子(ぎんなん句会)
花信の風指もて朝の髪を続く     内藤 邦生(ぎんなん句会)
耕人の影むらさき色に成ってなお働く 藤澤 隆子(かも川吟社)
花冷えのアジアが遠く灯っている   藤田 踏青(層雲自由律・豈・でんでん虫の会)
雑踏が歪んだ鏡に吸いこまれる    高田 弄山(層雲・層雲自由律)
てんはねむくあくびまんまる     内藤 邦生(ぎんなん句会)
半平太の雨きて物忘れ上等になった  高橋登紀夫(かも川吟社)
 
 この九句を模造紙に書き写して張り出し、机をロの字に戻してから後半戦に突入。各班の代表者による選句の経緯などを聞きながら皆で発言し、全員参加型の句会になりました。もちろん話題となった九句だけでなく、事前選句で得点が高かった句や、それ以外の作品にも触れています。最後に、高得点を獲得した上位五句の作者へ賞品をプレゼント。十五時半に終了しました。


 休憩をはさんで第二部。富永鳩山氏(群妙)の代理で白松いちろう氏より「自由律句のひろば」設立に関するお話しがありました。新たな結社ではなく、すべての自由律俳人や、これから自由律俳句を始めたい人たちを受け入れられる「ひろば」を作り自由律俳句界の流れを作りたい、というご提案です。ただし詳細は未定で、機関誌の発行や団体設立も視野に入れているようですが、まずは「ひろば」を作ってから参加する皆で考えて行きたいとのことでした。
 参加者からは現状では内容が定まっていないことから、
・具体的に何をやるか良くわからない
・現在の「東京自由律俳句会」も多くの人を受け入れる体勢にあり、閉ざされた存在ではないため、その働きの違いがわかりづらい
・似た様な会が増えても仕方ない
 等々、疑問視する声や否定的な意見がありましたが、せっかくの動きに反目したり非協力的になる必要もないので、今後の様子をうかがい、東京自由律句会としてどう動くべきかを判断しよう、というのが今回の結論です。
 答えが出たところで第二部も無事終了。十七時、恒例となった記念写真撮影後にお開き。そして同会場で懇親会。お弁当を食べ、お酒を飲みながら、いつものように盛り上がったことは言うまでもありません。
 なお今回の模様は七月二十五日発売の文筆の森社『俳句界八月号』に掲載されます。
 次回は十一月二十三日、「群妙」プロデュースで開催されます。
メンテ

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